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2018年9月7日 オカ日記

オカフーズのRPA導入事例 中小企業の導入責任者の経験から

 

 

はじめに

 

このたびオカフーズでは業務自動化ロボット(RPA)が導入されました。社員40人強の中小企業で専任のIT担当者がいないなかで、ようやく1つめの業務をRPA化することができました。一連の経験を活かしながら、今後はRPAの適用業務を拡大していく予定です。

 

今回のRPA導入活動を通じて

 

  • 10社以上からリリースされているRPAの中で、どのような機種が中小企業に適しているのか
  • どのような業務がRPAに向いているのか
  • RPAよりハードルが低い業務改善方法

 

など、中小企業ならではのポイントも分かりました。以上のことを私たちの経験踏まえてお話しさせていただければと思います。

 

 

IT専任者がいなくてもできたRPA導入

 

 

オカフーズは骨取り切身の専業メーカーです。

 

商品部(水産原料の買い付けや生産を管理)、営業部、品質管理室、事業支援部(総務・経理に相当)などの部署がありますが、システム部門はありません。

 

そのような状況ですが、本格的に取り組みを始めてから約5ヶ月での導入実現でした。

 

記念すべき第1号プログラム(RPAもプログラムの一種です)は当社の生産管理業務に関するものです。いままではExcelシート上の商品データから、商品コードや数量などのデータを基幹系システムに対して一つ一つ手入力していましたが、RPAを用いることにより全自動で入力できるようになりました。

 

この第1号プログラムはさらなる改良を予定しており、最終的には年間200時間以上の業務時間の削減を見込んでおります。他にも食品表示法改正に伴う規格書変更業務のRPA化が決定し、またクローリング(自社にとって有益なネット上の情報を収集すること)や営業やマーケティングへの応用なども検討されています。

 

 

導入して実感するRPAのメリット

 

 

当社はまだRPAを導入して間もないのですが、すでにいろいろなメリットを感じています。

 

① 労働時間削減

 

やはり第一のメリットは労働時間の削減です。

 

業種にもよりますが、当社のような規模の大きくない会社の場合は、大手企業のような年間作業時間数千時間というような単位業務はあまりありません。しかしながら年間数十~数百時間の業務ならばいくつかあるはずです。

 

当社の第1号プログラムの対象業務も年間約100時間程度のものですが、プログラムを増やしていくことによって、削減効果が実感できるようにしていきたいと思っています。

 

かつてのようにシステム開発しか方法が無かった時代においては、この程度の“大きさ”の業務は開発費を考えると間尺に合わないので、仕方なく人間が作業していました。

 

しかしRPAは内製すれば数時間から数十時間の作業で1つのRPAプログラムが作れますので、年間数十~数百時間の程度の“小さめな”業務も自動化が可能になりました。

 

RPA導入は大手ほどではないにせよ、中小企業でも労働時間削減のメリットは生じると思います。

 

 

 

② ストレスからの解放

 

単調な繰り返し業務は多くの人にとってはあまり楽しい作業ではありませんし、ストレスも溜まります。RPAの導入で単調作業から解放され担当社員はとても喜んでいます。

 

③ ヒューマンエラーの削減

 

人は作業を行うと必ずミスを起こします。どのくらいの割合でミスするかということになると、0.3%とも2%とも言われますが、いずれにしても人が携わる業務においてはミスの発生を前提として確認作業が組み込まれています。

 

RPAは基本ミスをしませんので、業務品質が向上するとともに確認作業の削減が可能になりました。

 

④ その他

 

いままで述べてきた以外にも、下記のメリットを見込んでいます。

 

・リードタイム短縮による顧客満足の向上
・ネットからの膨大なデータの収集
・人の手が足りなくて出来なかった未着手業務の着手
・営業・マーケティングへの活用

 

 

RPA導入、中小企業ならではのポイント

 

ポイント1.RPAは万能ではなく、制限も多い

 

よく誤解をされていることですが、RPAを導入すれば何でも自動化できるというわけではありません。

 

たとえばブラウザ(インターネット閲覧ソフト)上で行う業務しか自動化できないものや、Microsoft Accessや基幹システムとのデータのやりとりができないRPAもあります。

当社の場合は基幹系システムとブラウザ、表計算ソフトとの間でRPAがデータのやりとりができることを前提に機種を選定し、最終的に「WinActor」を選びました。

 

機種の決定前には必ずRPA化するときに使用するソフトとの相性確認が欠かせません。

 

 

ポイント2.機種選定、まずは“RDA”でスモールスタート

 

現在日本でもRPAは10を超える製品が販売されています。だいたい年単位のライセンス契約という形になるのですが、20万円台から数百万円まで価格はさまざまです。

 

RPAは大きく分けるとパソコンにインストールし、表計算ソフトやメールソフトと同じようにアプリの1つとして「目に見える形で」作動するRDA(Robotic Desktop Automation )と、サーバにインストールして人の見えないところで作動するPPA(Robotic Process Automation)の2種類に大別されます。大体前者が年間20万円から200万円、後者がそれ以上の価格となります。

 

当然後者の方が高性能ですが、管理・運用のハードルも高く、中小企業はそれに見合うだけのコスト削減ができない可能性もあります。RDAはRPAと較べて処理性能は低いのですが、さまざま点でハードルが低いので中小企業にはこちらがオススメです。

 

ポイント3.RPAは内製する方が絶対有利

 

RPAのプログラム作成はまったくの初心者には結構ハードルが高いものです。そのため最近はRPA作成を代行する会社も増えてきました。

 

運用開始時はそれで良いのですが、多くの理由から早い時期にRPAを作れる社内人材育成が必要だと感じています。

 

理由1:業務手順がわずかに変わった場合でもRPAは基本的に使えなる。外注の場合はその都度修正を依頼しなければならない。

理由2:RPAのトラブル時に仕事が止まってしまう

理由3:ブラウザが仕様変更したときにも対応を業者に依頼しなければならないケースが多い。

理由4:RPA作成・運用のナレッジが蓄積しないので、ユーザー企業はRPA化の勘所がいつまでもつかめない。

理由5:クローリング(ネットからの情報収集作業)のときに、対象とするサイト(ホームページ)のレイアウトが変わると収集できなくなってしまう(やはり業者に依頼が必要)

理由6:開発や修正の期間が長期化する。

 

 

 

そして最大の理由はやはりコストです。

 

肝心の人材育成に必要な時間については諸説ありますが、あるRPAベンダーの方に伺った(機種不明)話では、

 

  1. プログラミングが得意な方は1日8時間学習して1週間
  2. プログラミングはできないが、パソコン操作が得意な方は2週間
  3. 普通の方は3週間

 

とのことでした。

 

実際に当社の場合はどうだったかというと、1と2の中間くらいのレベルの人を育成したところ、やはり2週間分フルに使って学習する必要がありました。

 

しかし業務時間に直すと約80時間、人件費等も含めてもすぐに回収できる金銭的、時間的なコストと言えます。

 

 

ポイント4.プログラム人材の育成は本気で

 

 

人材育成において一番悩んだのがどのようにしてRPAのプログラム学ばせれば良いのか、という点です。

 

当社の場合はRPAの導入に先だって、Excelマクロ(Officeのプログラミングツール)を使える人材を育成していました。その中から適性がありそうな人材(先ほどの「1と2の中間」の人です)に、まずUiPathという海外製のRPAソフトの無料オンライン学習を、続いて国産RPAのWinActorの8時間コースを学ばせました。

 

その後は当社の業務を実際にロボット化する作業をしながら、実地で覚えていきました。筆者の知る範囲ではWinActorについても、学習者を即戦力レベルまで引き上げてくれる本格的な講座がなかったのでこのような方法をとりました。

 

(追記 初心者レベルから開発できるレベルまでカバーする全5日間のセミナーができたようです)

 

 

ポイント5.RPA用パソコンは性能重視

 

実は見落としがちなのですが、RPAもプログラムなので、パソコンの性能によって作業能率が全然違います。経費を削減するために、何年も前のノートパソコンを使っているという話も聞きますが、あまりオススメできません。

 

これはベンダーさんから聞いた話で確実ではないのですが、RPAの処理速度を上げるには、ある程度のCPU性能、余裕のあるメモリ、主記憶装置との高速アクセスが重要で、一方でグラフィックアクセラレータ(画像処理を高速化する追加パーツ)などは不要とのアドバイスをいただきましたので、

 

CPU Core-i5

メモリ 8GB

主記憶装置 SSD 256GB

 

というスペックのデスクトップパソコン(本体約14万円)を購入しました。

 

RPAは夜間も含めた連続稼働が想定されますが、サーバと違いパソコンは1日あたり数時間の使用しか設計上想定されていないそうです。ですので、故障等のトラブルも考慮して良い部品を使っていそうな少しお値段高めのパソコンにしました(気休めかも知れません)。

 

 

ポイント6.RPA化はまずは単純な繰り返し業務から

 

人間なら簡単にできる単純な業務でも、RPAのプログラムにすると膨大なフローチャートになることがよくあります。ですので、複雑な業務でなおかつ作業時間が年間数十時間程度の業務の場合には、RPAのプログラミング作業の方が時間がかかってしまうこともあります。なるべく簡単な業務、たとえばひたすらコピーアンドペーストを行う、ひたすらブラウザからデータを取得する、などが適しています。

 

RPA化の前にExcel関数やマクロの活用の検討を

 

 

RPAはWordやExcelといったMicrosoft Office製品の間だけではなく、「Excelとブラウザ」、「Excelと基幹系システム」のようにMicrosoft Office製品以外のソフトともデータのやりとりができるところが大きなメリットです。

 

一方で業務の中にはExcelだけで完結する業務もたくさんあります。そのような場合、マクロを使ったり、関数を活用したりする方が簡単なケースがかなりあります。

 

当社でも業務改善活動を通じてチャート化された数千件の業務の中には、関数を用いて改善したものがいくつもあります。

 

たとえば、vlookup関数を用いて年間作業時間が30時間27分⇒3時間32分に削減、18時間1分⇒2時間44分といった改善があります。またマクロを用いて、23時間34分⇒1時間27分、20時間6分⇒0分といった改善例があります。

 

前述のとおりオカフーズは2017年秋にIT系人材育成のため、マクロ(VBA)やExcel関数のコースがあるパソコンスクールへの参加者を公募いたしました。費用は全額会社負担ということもあって、全社員の四分の一以上、しかもバックオフィスだけはなく営業からも応募者がありました。これらの人たちが業務改善に貢献するようになっています。

 

マクロも関数も無料で使えるうえ、パソコンのスクールも関数は数万円、マクロも20万円くらいと比較的安価に学ぶことが出来ますので、得意な人を養成することは業務改善につながっていきます。

 

最後に

 

 

RPAの導入は思ったよりはハードルが高く、いろいろな問題をクリアしなければなりませんでした。しかし、一度軌道に乗れば様々な業務の自動化が可能となりますので、とても便利なツールでもあります。

 

またシステム開発、RPA、マクロ、関数をそれぞれの特徴に合わせた使い方をすることで、最善の業務改善ができることも分かりました。まだまだ当社のRPA活用は始まったばかりですが、続報がご報告できますよう引き続き取り組んでいきたいと思っております。

 

 

経営企画 高橋

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